数カ月前、AmazonでKindle Paperwhiteを購入した。台湾をぐるりと一周した旅行にも持って行き、その移動中はだいたい読んでいたけれど充電切れを起こすことなく5日間の旅程を完走してくれ、こんな便利なものはないとすっかり気に入っている。とはいえ紙の本に特有の便利さというものもあるし、ページを繰る感触が好きなので、紙の本と決別する気にはなれそうもない。
下北沢にはいくつもの古本屋さんが点在している。店頭で投げ売りに近い形で並べられている数百円の本の中にも探せば自分に合う本は眠っているので、下北沢で散歩しているときにはよく覗きに行く。先日、ふと手にした松浦弥太郎のエッセイの背表紙を開いたところにレシートが挟まっているのを見つけた。文京区小石川にある書店で2009年4月に購入された本であるらしい。そのレシートは感熱紙でできていて、しかも6年も前のものなのでずいぶん字が薄れていた。しかしそのレシートの下の方に、「本を読む楽しさを貴方に」という書店からの小さなメッセージが印字されているのを見つけた。Kindleもいいけれどこういうお店で本を買いたいものだと思った。そしてその書店がまだ健在であることを祈った。