東京に住み始めて2年が過ぎた今でも、相変わらずぼくは東京タワーが好きで、たとえば電車からタワーが見えたりすると、ビルの隙間に現れては消えるその姿に意識をほとんど奪われてしまう。そして、いつでもあの場所に立っているはずなんだけど、なぜかぼくはいつも東京タワーを見るたびに無常感のようなものをおぼえている。
それはきっと、自分がいつかこの街を離れたとしても、自分がいつかこの世を去ったとしても、そんなことには関係なくこのうつくしい建造物はここに在り続けるのだろう、なんてことを無意識に感じてしまっているせいなのだと思う。
昨日、高校の同窓会があった。東京で暮らしている同級生が10人くらい集まった。たぶん卒業式以来の人もいた。みんな変わってなかった。ただ少し歳を重ね、ただ東京にいるだけだった。
今後についてもちらほら話をした。もう関西に帰りたいという人がいた。来月には日本を発つという人がいた。仕事を辞めて、生きる道を選び直した人がいた。みんなそれぞればらばらで、それでもみんな同級生だった。楽しくてしかたなかった。
二次会はほとんど寝ていた。薄まりきった意識の隅っこで「あの娘にメールしよう」なんて高校時代のようなアホな盛り上がりが聴こえた。大雨が降り止まない、有楽町の夜だった。