古本屋の本棚を左から右へと視線を走らせる。一冊の背表紙に目が止まる。蚊が留まっている。著者名の上にじっとしている。その腹に血は溜まっておらずからだは小さい。
この時期に蚊か。さぞ生き辛かろうと思い遣る。夏の日にさんざん憎んだことも忘れて。
少し目線を右に切る。そしてすぐに戻す。すでに蚊はいなかった。さようなら、と思った。
9:03 pm, 2009.11.23 月. 0
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