2010.01.11 月曜日

図書館の入り口に座って

library 1/2
library 2/2

 大学には図書館本館とは別に、経済学部専用の小さな図書館があった。ありとあらゆるジャンルの本が集積されている本館とは違い、こちらの図書館は目立たないところにあるうえに、基本的に経済に関連する書籍しか置いていないこともあって、いつも数人の勉強熱心な経済学部生や教授がいるだけで静かな空間だった。その静かな館内も好きだったけれど、図書館の玄関にある古い駅の待ち合い席みたいなベンチに座って過ごすのが好きだった。ほとんど人が来ないからとても静かで、奥まった玄関は日陰になって夏はひんやりと涼しい。たまに建物の隅に住み着いている猫がガラス戸の向こうを通ったりもする、本当に穏やかな場所。ぼくは本館で借りてきた本をここでよく読んでいた。
 光が少しずつ動いて、温度が少しずつ下がって、静寂がさらに深まっていく。そんな時間になると腰を上げて、ちらほらと明かりのついている教室に目をやりながら、人気がなくなった敷地内をぶらぶらして帰る。東の空に月が見えたりした。

Post a comment.