2008.03.20 木曜日

egghead

147.jpg

典型的な”頭でっかち”
5cmの水溜りの中で発見


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昨日が雨でよかった。
朝から電車に乗り込んで約2時間、曇った窓を時々手でこすりながら
ある人が素敵だと語っていた本をじっくり読んでいた。
優しい言葉で真理を突かれると、ここまで雨が感動的に見えるのか。
誰かと話をしたいと切実に思った一方で、この感覚をどこまで自分だけで
体得しきれるのだろうかと、独り車内で悶々としている。
目的地は終着駅、しかもまだまだ時間がある。
安心しきった状態で理性は本に執着している。
だけど頭のどこか、イメージで言うと
両目と頭のてっぺんを繋いだ三角形の重心あたりだけは
今の自分の置かれている状況と、特急電車と雨について
ぐるぐると落ち着かずに想い彷徨っていた。
これって逃げてるだけだよね。
そういう極めて現実的な横槍が、ときどき横隔膜あたりをチクチクっとする。
本当に横隔膜が軽い痙攣のようなものを起こす。
何かの感覚と同じだな、あぁ泣く寸前のあれだ。
だけどもちろん泣くわけがない。泣かない人間だから。
どんどん流れていく景色。
踏み切り待ちの人たちの顔は傘で見えない。
あぁ、だから雨の日は泣くのにもってこいなのか。
もし傘を覗き込まれても、「見てよ、傘に穴が開いてんだ」って言えばいい。
そうすれば、穴なんて開いていないのに気付いた彼はこう言ってくれる。
「本当だ、開いてるね」
終着駅が近づく。
本はまだ終わらない。
雨はまだ止まない。
僕はまだぐるぐると三角形をなぞって歩く。
三角形がどんどん縮まっていく。
ひよこ豆くらいに小さくなったとき、僕はその場で回らざるを得なくなった。
展開の乏しいダンスのようだった。

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