2007.09.26 水曜日
名月
月がぼやけるのでメガネをかけてみたけれど
メガネをかけても月は滲んでいた
視力は下がり続ける
度数が合わないメガネは気休めに成り下がる
徐々にそして確実にピントがずれてゆく
輪郭は失われ曖昧になる
本質を掴みきれずに泣きを見る
レンズを介さねばならなくなった世界は
どうしても本物とは少し違ってしまうだろう
だけど僕はレンズ無しでは生きていけないと知り
滲んだ月に眼を細めた
月がぼやけるのでメガネをかけてみたけれど
メガネをかけても月は滲んでいた
視力は下がり続ける
度数が合わないメガネは気休めに成り下がる
徐々にそして確実にピントがずれてゆく
輪郭は失われ曖昧になる
本質を掴みきれずに泣きを見る
レンズを介さねばならなくなった世界は
どうしても本物とは少し違ってしまうだろう
だけど僕はレンズ無しでは生きていけないと知り
滲んだ月に眼を細めた
「無効」
(名・形動)[文]ナリ
(1)効力・効果のない・こと(さま)
「切符が―になる」「―投票」
(三省堂提供「大辞林 第二版」より)
自分の起こした行動が
他に効果を与えるかどうか
その成否の一切は他に委ねられると思う
自分の起こした行動が
自己に意味があるのかどうか
その是非の一切は自分次第であり
行動を起こす前の予想はたいていあてにならない
この切符の効力は無くなっても
この切符の持つ意味は悲しいくらいに
朱印の如くそこに留まるのだ
クルクル廻る地球の上で
グルグル廻る洗濯機を見て
ズルズル引き込まれそうになる
地球と洗濯機
廻るという点において両者は同一である
そんなくだらない発見
考えることをやめた人間は猿に過ぎないと
誰かが言ったそうだ
それは猿に失礼である
感覚的な話ではあるが
物悲しさを感じることが多くなった
テレビドラマのストーリーに織り込まれた
計算された悲しさをも包括したような
虚しさとも感じられる物悲しさ
つまりそれは
世界を素直に受け入れることを拒み
どこか横目で盗み見るような
捻くれ者の考え方
一日の終わり
歩道に忘れられた郵便ポストですら
何らかの暗喩を含んだ物悲しさに溢れ
思わずシャッターを切った
小学生の頃にアサガオを育てた
学校で貰ったプラスチック製の植木鉢に
学校で貰ったプラスチック製の棒を差して
学校で貰ったアサガオの種を植えた
玄関先にポツンと置かれて
自然が与える水と光を受けたアサガオは
気が付くと花を開かせていた
僕はアサガオを育てた
笑顔を作ることができない
記念写真はいつも嘘だった
そのくせ他人の笑顔が好きだから
他人の笑顔を写したくなる
笑顔を作れない奴に
誰かの笑顔を写す資格は無いと言うのなら
僕は努力をするだろう
道端の人形にすら笑いかけるだろう
キリンさんが好きです
でも
ペンギンさんの方がもっと好きです
そう言われたキリンは
自分で努力することもなく
一番好かれる動物になれる日を
首を長くして待つのでした
自然の中に人為を加える
コーヒーの中にミルクを加える
加え過ぎると
自然は自然でなくなり
コーヒーはコーヒーでなくなる
つまりはスプーンに一匙
それぐらいにしておこう
ちなみに
僕のスプーンは汚れない