時間が経つのが早い
止まらない日常
真鍮の像のように
青空の下でポーズを決めていたいのに
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自転車で道を横断した
苛立つほど冷たい向かい風が吹いた
風を受けた帽子は軽やかに宙を舞い
そっとアスファルトに降り立った
拾う時にそばを通り過ぎたドイツ人
彼の名を知る僕のことを、彼は忘れただろう
それが悲しかった
人の事を忘れるというのは実は結構難しい
無理に忘れることはそれ自体が矛盾で
「忘れること」が自分の能力を超えた現象であることを
否応無しに気付かせてくれる
自分の背中を直接見ることはできない
そう、その虚無感によく似ているのだ