机の上が乱れている。封を開けていない郵便物、ラジオで聴いた曲名のメモ、撮り終えたフィルム、クリップ、青のペンが2本、二度と会わない人の名刺、まだまだ挙げるとキリがない。とにかく散らかっている。
物をたくさん持つのは苦手で、できるかぎり身の回りには必要なものだけを揃えるようにしている。一生住むわけではない部屋に不要なものを溜め込むのは、合理的じゃないと思う。そもそも、たかだか1Kの部屋なのに、どこに何があるのか把握できないほどの物がある状態ってあまり想像できない。まだしばらくは小さな部屋に一人で暮らしていく日々が続くのだろうから、物を増やしたくないし、増やすことはできない。だから長く好んで使えるものが必要になる。
就職して4ヶ月が過ぎようとしている。この社員寮に住んで4ヶ月になろうとしている。部屋のために買い足したものといえば、キッチン用のマットくらいだろうか。いまでも部屋の半分のスペースに寝床とデスクを置いているだけで、残りの半分は空白になっている。殺風景だと言わざるを得ないのだけど、これには「さっさと寮を出るつもりだから、この部屋に投資したくない」という理由がある。寮って性に合わない。すごく安いけど。
そんな殺風景な部屋にも、少しくらいは飾り気が欲しいものだ。だから壁には、好きな文章をプリントアウトしたものが1枚と、人に譲ってもらった好きな写真が1枚飾ってある。今はこれで十分だと思っている。
さあ、いよいよ(早くも)来月、寮を出ることにした。これまでの退寮者の最短入寮期間は6ヶ月だったらしい。一番我慢のない新人である。